津軽百首(冬のハタハタ)

ごうごうと 地吹雪の中 聞こえるは 「ハタハタ来たぞ」と 告げる遠雷

ごうごうと じふぶきのなか きこえるは 「ハタハタきたぞ」と つげるえんらい

地吹雪の風がごうごうと吹き荒れる中、遠くで雷の音が聞こえる。
この雷は本格的な冬の始まりで、そして、ハタハタ(鰰)がきたことを告げているのだろう。

幼き頃、
祖父が言っていた言葉。

「おろー、雷鳴ったはなんで、ハダハダ取れでるべな」

外は猛吹雪。
その風の中で、
夏のそれとは違う雷の音。

「季節変わる時だっきゃ、雷なるもんだはんでな」

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祖父の言葉通り、
その数日後、ハタハタが食卓に上がる。

卵たっぷりのハタハタは、
シンプルな醤油煮。

あとは、
ストーブの上にアルミホイルを敷いて、
その上で塩焼き。

味はシンプルな白身魚の味で、
身はほろほろ柔らかく、
でも、ちょっとだけ硬い骨。

冬の雷がなるたびに思い出す、
今は亡き祖父との懐かしい時間。


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