津軽百首(畑への道)

休憩の おやつと飲み物 携えて ぐんぐん進む 畑への道

きゅうけいの おやつとのみもの たずさえて ぐんぐんすすむ はたけへのみち

農作業の休憩に食べるおやつと飲み物を準備して、みんながいる畑を目指してどんどん進んでいく。

農家の朝は早い。
そして、体力労働でもある。

なので、朝10時と昼3時はおやつ休憩。

椅子に座って(ビールの空きケースや木箱)、おかしや菓子パンを食べながら、水分補給。

ラジオを聞きながらの時もあれば、いろんな噂話やら世間話。

わいわいがやがや。

15分くらい休んだら、また作業開始。

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母は本家のリンゴ作業の手伝いに出ていたし、父と祖父は自分のブドウ畑の作業中。
祖母は家でご飯の支度。

だから、畑へ差し入れを持っていくのは、当時小学生だった私の仕事。

学校が終わって、3時のおやつに間に合うように。
休みの時は、10時のおやつにも間に合うように。

届けたときの嬉しそうなみんなの顔が大好き。

しかも、一緒にお菓子を食べられるというおまけつき!

あの笑顔の人たちも、もうほとんどが空の上。
願わくば、空の上でもみんな仲良く笑っていてほしい。

津軽の空は今も昔も変わらない。
これからもずっと、変わらないでいてほしい。


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津軽百首(ミツバチの季節)

ミツバチの 羽音に揺れる 野の草は ほほ笑みながら 春を彩る

みつばちの はおとにゆれる ののくさは ほほえみながら はるをいろどる

ミツバチがきて揺れる野の花は、まるでほほ笑むような優しさで、津軽の春を彩っている。

長い長い津軽の冬が終わり。

泥濘から出た新緑に小さな花が付き始めるころ。

津軽野もようやく春が来たと実感する。

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あちこちにミツバチが飛び、忙しそうに蜜を集めては、また飛んでいく。

その忙しそうなミツバチを、咲き誇る花は優しく受け止める。

ほほ笑むように揺れながら、春の柔らかい光を浴びて、小さな花は一層可憐に美しく咲き誇る。

みんなが待ち望んだ春。

奥津軽の春は、喜びに満ち溢れている。


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津軽百首(雪囲いを外す日)

うららかな 春の日差しを 背に受けて 気持ちも軽く 雪囲いとる

うららかな はるのひざしを せにうけて きもちもかるく ゆきがこいとる

柔らかな日差しに春を確信した日は、心厳しい冬を守り抜いてくれた雪囲いを外す。

津軽の冬は厳しく長い。
だからこそ、雪囲いをして家を守る。

雪囲いをする意味は、落雪やつららから窓ガラスが割れないように。

ただ、雪囲いをするということは、窓の外に木の板を設置するということなので、窓は守られるものの室内は暗くなる。

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空は曇天、室内も暗い。
だからこそ、春を心から待ちわびる。

そして、3月を過ぎて春を感じ始めた頃、ようやく雪囲いを外す。

冬の間、暗かった室内は、まばゆい春の光に一気に照らされる。

ああ、春が来た。
今年も春が来た。

長い冬の終わりを喜び、また津軽の里は色とりどりに染まり始める。


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津軽百首(冬の会話)

「降ったナァ」「降ったっきゃノ」と白い息 小さな雪山 カラフルスコップ

ふったなあ ふったっきゃのと しろいいき ちいさなゆきやま からふるすこっぷ

ものすごく雪が降った次の日は、みんな朝から雪かき作業。
小さな雪山があちこちにできて、カラフルなスコップがささっている。

津軽の冬の夜はとても静か。

家の中は暖かく会話にあふれていたとしても、
しんしんと降る雪がその音を吸い込むから、
外はとても静か。

そんな雪が降った次の日は、
みんな朝から雪かきタイム。

「降ったナァ」
「降ったっきゃノォ」

「おはよう」よりも先に出る言葉。

「いづまで降るんだべ?」
「んだっきゃ、いづまでだべなァ」

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雪が止むのはわかっているけれど、
いつ止むのかがわからないのが自然の常。

小さな雪山には、
色とりどりのスコップがささっていて、
ちょっとだけ華やか。

シンプルなスコップだと雪の中で見つけにくいから、
赤・オレンジ・黄色・紫・緑・青など、
それはもういろんな色のスコップがあります。

降り積もったばかりの雪は、
まあまあ軽いから、
軽いプラスチックのスコップが一番。

積もりすぎた雪を目の前に、
みんなやれやれと苦笑いしつつ、
近況報告をしながら雪かきをしていく。

「大変だっきゃナァ」
「まんづナァ」

津軽の冬によくある、
何気ないいつもの風景。


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津軽百首(終わりのない雪かき)

しんしんと ただ無情にも 降り積もる 雪かきのあと かき消すように

しんしんと ただむじょうにも ふりつもる ゆきかきのあと かきけすように

根雪になり冬の寒さに慣れた頃、満を持して訪れる寒波。ただ静かに降る雪は、さきほど雪かきをしたばかりの場所を、かき消すように覆っていく。

冬になると訪れる寒波。

雪に馴染みがない場所であらわすと、
イメージ的には、真冬に来る台風…という感じでしょうか。

風台風、雨台風というものがあるように、
暴風を伴う寒波、大雪の寒波があります。

暴風を伴う寒波だと、
いわゆる地吹雪になりホワイトアウト。

視界が真っ白に染まり、
数メートル先が見えなくなります。

そんなときはどう運転してるのかといいますと…
(青森は車社会ですから)

みんな、勘です。

車のテールランプを目印にすることもありますが、
風が弱まったときにわずかに見える道を覚えておいて、
ゆっくりゆっくりと進むのです。

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除雪で積み上げられた雪で狭くなった道路、
そこを譲り合い、なんとか切り抜ける。

雪のない季節に青森を訪れると、
どこの道路も本当に広いと思います。

ですが、冬はこれが雪で埋まり、
二車線は一車線になり、
一車線はすれ違えないくらいの狭さとなります。

譲り合わないと進めない道路。
終わることのない雪かき。
ずっと晴れることのない鉛色の空。

だからこそ、
津軽の人々はひっそりと、
辛抱強く春を待つのです。

冬の厳しさを知るからこそ、
春の優しさが何よりもありがたい。

自然に対する畏怖の念は、
こうして培われるのかもしれません。


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