津軽百首(托鉢する僧に)

枯ら声と 鈴の音重ぬ 尾花野に 坊の涙も なくぞなからむ

からごえと れいのねかさぬ をばなのに ばうのなみだも なくぞなからむ

しわがれた声に鈴の音を重ねすすきが揺れる野を歩く托鉢の僧よ、涙は流さないだろうか、いや流したはずだ。
※かれをばな(枯れ尾花)の折句です。

しわがれた声と対照的に、
空気を清めるような鈴の音。

冷たい風が吹くすすき野を、
ただ一人歩く托鉢僧よ。

修行とはいえ、
物悲しくはないのだろうか。

涙は流さないのだろうか。
いや、流さないはずはない。

それでも、
人々の功徳を積むために。

僧は一人、ただ歩いていく。

 

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私が幼い頃、
曽祖母の家に遊びに行ったときのこと。

托鉢僧が訪れ、
曽祖母がご飯を施し、
両手を合わせ頭を下げ、
とてもありがたそうにお経を聞いておりました。

ひ孫である私も一緒に、
「とてもありがたいことだから」と、
お経をききました。

その時はわからなかったのですが、
大人になり色々な経験をして、
修行とはいえ、
人々の功徳を積むために托鉢をする僧は、
きっと流さない涙もあったのだろうと。

またこの首は「かれをばな(枯れ尾花)」の折句となっています。
それぞれの頭文字をみると、「か れ を ば な」です。

最近は隙間時間を使って、あらためて和歌を勉強中です。
奥が深いと感じる今日この頃です。

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