泣く児見て 「行がねばマイネ」 頭撫で かがむ背中に 積もる綿雪
なくこみて いがねばまいね あたまなで かがむせなかに つもるわたゆき
出稼ぎに行かないでとしがみつく児が雪に濡れないよう、背中をかがめて頭をなで続ける父親。
「もう行かないと」と言いながらもなかなか動くことが出来ず、背中に綿雪が積もっていく。
(※安田蝸牛さん、ご協力ありがとうございました!)
秋の恵みに感謝した後は、
出稼ぎに行かなければならない。
しんしんと雪が降る朝。
ああ、もう綿雪になった。
これは積もるな。
「行げばマイネ」と
私の足にしがみついて、
まだ幼い子が泣いている。
スポンサーリンク
なるべく背中をかがめて、
降りしきる雪が幼子に当たらないように。
「もう行がねばマイネ」
そう要って頭を撫でるが、
なかなか足が動かない。
名残惜しい。
この児のそばにいたい。
それでも、
その願いが叶うことはなく、
時間だけが過ぎていく。
いつしか背中には、
綿雪が降り積もっている。
うたのわに参加しています。