津軽百首(手間取りの母・津軽弁)

手間取りで 家サ帰るの 夜サなる わらはんどだぢ もう寝でらベな

てまどりで いえさかえるの よるさなる わらはんどだぢ もうねでらべな

農作業の日雇いの仕事を終えれば、もうとっぷりと日がくれて夜になっている。子供達はもう眠っているだろうな。

私の実家は農家でした。

でも、祖父と父が自分の畑をやっている間、
母は手間取りという他の人の畑の手伝いをしていました。
(家事は祖母担当)

りんごの収穫時期ともなれば、
もともと日暮れが早いのもありますが、
市場に出荷するための作業も相まって、
母が帰ってくるのは大分遅くなってから。

その頃には私はもうすでに夢の中でしたが、
朝、また忙しそうに手間取りにいく母。

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大人になってから、
その頃のことを謝られたことがあります。

“本当に可愛くてずっとそばにいたかったけど、裕福じゃないから手間取りをしなきゃ生活できなかった。寝顔を見るたびに、明日も頑張ろうって思えた。さみしい思いをさせて本当にごめんね。”

「寂しさはあったけど、母の仕事場の畑に遊びにいったり、お手伝いをしたりと、色々学んだことも多くて楽しかった」

と伝えた時、母はとてもほっとした表情になったことを今も思い出します。

そのリンゴ畑もすでに更地になり、あの頃の笑い声はもう記憶の中にあるばかり。
その思い出と景色こそが、月日の流れというものを、時間は決して止まることはないという現実を、まざまざと感じさせるのです。


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