津軽百首(あばのけの汁)

下燃ゆる 炭を返すは 囲炉裏の間 ぐつぐつ湯立つ あばのけの汁

したもゆる すみをかえすは いろりのま ぐつぐつゆだつ あばのけのしる

下燃えの炭をひっくり返すと、おばあさん特製のけの汁がぐつぐつと煮立ってくる。

田舎ならではのお話だと思うのですが、
奥津軽に行けばいくほど、
未だに「本家」「分家」という概念が色濃く残っています。

私たちの世代までくると、
そこまでのしがらみはなくなりますが、
幼き頃はそれこそ、
冠婚葬祭の場面ではいろいろとありました。

そんな私の実家の本家は、
古い趣の残る日本家屋。

りんご畑をたくさん所有し、
たくさんの従業員と共に、母がそこで働いていました。

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親戚ということもあり、
私はよく本家に遊びに行っては、
本家の子と遊んだり、おばあさんとお話をしたり。

りんご畑でお手伝いをしたり、
小休憩のおやつの時間にお菓子をもらったりしてました。

そんな本家は、
台所とは別に囲炉裏の間がありました。

おばあさんが鉄鍋でけの汁をよく作っていて、
もうもうと煙る湯気と、
味噌の香りや炭の音がまざった、
なんともノスタルジックな情景。

「あばのけの汁」の「あば」は、
「おばあさん」という意味になります。

今はもう本家も変わってしまったのですが、
炭火を見るとあの囲炉裏の間を思い出し、
心がほっこりとあたたかくなります。


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