残桜の恋物語(恋に戸惑う・男歌)

我が道の 野辺に咲きたる 花の名も 知らぬままなら 悩まざりしを

わがみちの のべにさきたる はなのなも しらぬままなら なやまざりしを

ただ前を見て歩いているときは気にも留めなかった野辺の花も、その名を知ってしまえば摘むことも踏むことも躊躇ってしまう。
名前を知らないままならば、こんなに戸惑うこともなかっただろうに。

己が進む道はただ一つ。

それは、
とても孤独で崇高な道。

そう、
ただただ前だけをみて歩く。

他のものに目を向ける必要もなければ、
心を寄せる必要もない。

それなのに。

なぜ、目で追ってしまうのだろう。
なぜ、気にかけてしまうのだろう。

気づかなければ、
知らぬままならば、
この胸に宿る想いに戸惑うこともなかろうに。

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野辺に咲く花も、
名を知らなければ気にも留めぬのに、
名を知ってしまえば見方が変わってしまう。

この想いを消すことはもうできない。

そもそも、
この想いの名を、わたしはまだ知らない。

今回から不定期ですが、
新シリーズに挑戦いたします。
(もちろん、津軽百首も同時進行します!)

シリーズ名は「残桜の恋物語」

ひとつの恋について、
男性の目線から詠んだ男歌と、
女性の目線から詠んだ女歌で構成します。

高い志を持つ青年と、
青年の志を理解し応援する少女の恋物語。

初めての試みですので、ドキドキいたしますが、
お時間のあるときに読んでいただけたら幸いです。


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あなたに寄り添う心の短歌は、日常のふとした瞬間を短歌でつづっています。

人の心、季節の移り変わり、花の色、風の音。それは気にしなければ気にならずに済むくらいの小さな出来事。

その小さな出来事を忘れないように、思い出せるように、短歌を作ります。あなたの心の琴線に触れる歌があれば幸いです。

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