君来ずと 袖濡らしたる 霜月の ひらひら舞う雪 はかなくありて
きみこずと そでぬらしたる しもつきの ひらひらまうゆき はかなくありて
君が来ないとわかっているはずなのに、それでもあふれる涙は抑えきれずにこぼれてしまう。
その涙を袖で拭って見上げると、はかなげに雪が舞っていた。
来るはずもないとわかっているのに、終わった恋だとわかっているのに、それでもなんとなく思い出の場所に来てしまう。
あんなに笑いあって、あんなに楽しかったのに、もう遠い昔のよう。
何がいけなかったのだろう、どこですれ違ってしまったのだろうか。
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あのときああすれば、このときこうすればと考えては、それでもダメだったという結論に達してしまい、現実を受け入れるしかないと言い聞かせるより他がないこの心。
寒さからなのか、それとも、諦めからなのか、次々と溢れてくる涙を袖で拭い、ふと気がつくと、ひらひらと舞う雪。
泣いて熱を持った頬に触れては、すぐ消える雪。
今はまだ雪か涙かわからないけれど、きっと落ち着くころには、頬に触れた雪の冷たさを感じられるはず。
それまで、ここに佇んでいよう。