言の葉は 人の意思まで 変えるもの 我の心は 我のものとぞ
ことのはは ひとのいしまで かえるもの われのこころは われのものとぞ
言葉は人の心や考えまで変えてしまうもの。だからこそ、自分の心は自分で調べて納得したものだけで満たしたい。誰のものでもない、自分の心なのだから。
種苗法改正について、いろいろと騒がれていますね。
これ、かなり間違った情報が世間で流れていると思うのですが…。
まず、この種苗法改正についてですが、
農家が困るものではなく、農家を守るものです。
実際に、私の実家だけではなく、
日本の農家が憂慮している問題なのです。
それは、新しく品種改良したものが、
他国にことごとく盗まれてしまうことに対しての防御策です。
テレビなどの情報では、「ガーデニングができなくなる」「個人販売などで野菜を売れなくなる」「おすそわけできなくなる」と騒がれているようですが。
「一般品種」であれば、法改正されても全然問題ありません。
「登録品種」であれば、自家増殖するときに許可が必要になります。
そして、自家増殖して栽培できるものは「一般品種」がほとんどです。
「登録品種」のものは、自家増殖すると品質劣化しやすいので、わざわざ自分で増やそうと思うより、新しい苗を買う人のほうが多いのです。
私の実家はブドウ農家。
祖父の時代から始め、今も父と母が毎日がんばって作っています。
それこそ、昭和の時代がまだリアルに続いているような土地です。
ブドウは種があるから敬遠されがちでした。
スイーツのトッピングにしたいと思っても、
種があることはマイナスにしかならず…
そんななか、
「シャインマスカット」という品種が開発されました。
種なしでなおかつ大粒で型崩れもしにくく甘くておいしい。
ブドウ農家としては、もう夢のような品種。
やっと、やっと、手に入れた、農家の希望の品種。
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2006年に日本において品種登録を実施したのはいいのですが、
輸出を想定していなかったため、国外での品種登録を行わなかったのです。
国外への品種登録は、国内の登録から6年以内に行うことが定められているので、
2012年の申請期限を過ぎてしまいました。
その結果、何が起きたのかといいますと…
国外では品種登録がされていないため、合法的に栽培し放題になってしまいました。
日本で品種開発されたのに、その技術料も払われることもなく、他国が他国へ売って暴利を得ているのです。
農作物の品種を改良するというのは、想像以上に時間がかかるものです。
研究者の方々が何年も研究をし、実際に育てて、病害虫や生育方法のデータをとり、さらにそこからまた育てて…を繰り返します。
それこそ、何年もの歳月をかけて。
実際に果樹栽培してみるとわかると思いますが、今年、小さな苗木を植えたから、来年は収穫できるというものではありません。
木が十分に生育し、花をつけ、やっと果実になるのです。
それも、一年に一度。三か月ごとに取れる果実など存在しません。
そこまでして開発し、病害虫に強く、農家の方が栽培しやすいようにされた種が、
いとも簡単に盗まれてしまう。
そして、そこで大量に栽培され、市場に流通し、結果として値下がりして農家を苦しめるのです。
それを防ぐのが、今回の種苗法改正の目的です。
今は、遺伝子を見れば、登録されたものかどうかすぐわかります。
この時代だからこそ、やっと、やっと種を開発している方々の権利を守れるようになったのです。
反対を唱えるのは簡単です。
では、種苗法改正せずに、どうやって日本の農業を守るのでしょうか?
反対意見を言うのであれば、必ず、代替え案まで考えるべきだと思います。
農家の声が聞こえないのは、多くの農家(私の実家を含め)は、ネットなどの情報を得ることもないのが現実です。
だから、声が上がっていないだけです。
声が大きい人だけの話を聞いて、それがすべてだと思い込まないでください。
そして、どうかどうか正しい情報を得て、そのうえで、賛成か反対かを決めてほしいと切に願います。