英霊と 呼ばれし者にも 家族あり 流れた涙 忘れてならぬ
えいれいと よばれしものにも かぞくあり ながれたなみだ わすれてならぬ
英霊と呼ばれた人たちも、私たちと同じように家族があったはず。国のため家族のためを思い亡くなった方々を、どうして忘れることができましょうか。
今年も夏が来た。
毎年、この時期になると、
亡き祖父を思う。
私の祖父は、
戦争経験者で、
シベリア抑留を体験した。
ちょうど私が小学生になり、
授業で戦争について学んだ時、
祖父に質問したことがある。
いつも、
寡黙で穏やかで、
書と水墨画を趣味とする、
大好きな祖父。
その祖父が、
とても苦しそうな顔で言った。
亡くなった仲間たちのことを夢に見る、と。
帰ってきて食べた白米のおにぎりが、人生で一番うまかった、と。
私は、
この祖父が、
こんなに優しくて慈悲深い祖父が、
そんな思いをしていたのかと思うと、
幼いながらにも、
胸が張り裂けそうだったことを覚えている。
祖父に戦争について聞くと、
「終わった事。
全て終わったことなんだ。
こうして、ここにいられるだけで幸せだ」と。
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祖父が私や家族を思うように、
私が祖父を思うように、
英霊と呼ばれた人たちにも家族があり、
流れた涙があったはず。
国を思い、
愛する人を思い、
家族を思い、
戦火に散った人々を、
どうして忘れることができましょうか。
誰が、好き好んで戦などしましょうか。
遺された私にできることは、
せめて、安らかに、心穏やかに眠れるよう祈るのみ。
平和であることを当たり前と思ってはいけない。
この平和は、数々の命と涙の上に築かれたもの。
願わくば、
国のため家族のために命を賭した方々を、
心から尊ぶことができる世の中になりますように。
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