路地の山茶花

時来れば いづれ散りぬる さだめとて 春を待つのか 路地の山茶花

ときくれば いづれちるぬる さだめとて はるをまつのか ろじのさざんか

時が過ぎればいずれ散ってしまう命と知りながらも、それでも路地の山茶花は春を待つのでしょうか。

ひらり、ひらりと、
一枚一枚はなびらが落ちていく。

椿のように、
花ごと落ちるでもなく、
桜のように、
とめどなく散るようでもなく。

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ただそっと、
その衣を一枚ずつはがすように、
山茶花は花びらを散らしていく。

それは、
己の定めを知っていながらも、
春の陽気を夢見て、
冬の衣を脱ぎ捨てるかのようにも見えて。

せめて。
せめて、春は無理でも、
日差しが暖かい日が続きますように。

路地の山茶花に、
とうとう春に出会えたと思えるくらいの、
暖かな日差しが降り注ぎますように。


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春待つ椿

咲き誇る 雪気の中の 寒椿 今か今かと 春を待ちわぶ

さきほこる ゆきげのなかの かんつばき いまかいまかと はるをまちわぶ

雪が降りそうな寒さの中で咲き誇る寒椿。
冬にそぐわぬ鮮やかな色で、春を呼び込もうとしているのでしょう。

今日はとても寒い。
まるで雪でも降りそうな気配。

そんな寒さの中でも、
寒椿は色鮮やかに咲き誇っています。

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鉛色の空、
凍てついた風、
まだ春遠い景色。

まるで、
自らの華やかさで、
春を呼びこもうとしているようにも見えます。

春を待つ椿は、
春の前に落ちてしまうのが世の理。

だからこそ、
未だみたことのない春を、
己の力の限り力強く咲き誇り、
今か今かとまちわびているのでしょう。


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津軽百首(あばのけの汁)

下燃ゆる 炭を返すは 囲炉裏の間 ぐつぐつ湯立つ あばのけの汁

したもゆる すみをかえすは いろりのま ぐつぐつゆだつ あばのけのしる

下燃えの炭をひっくり返すと、おばあさん特製のけの汁がぐつぐつと煮立ってくる。

田舎ならではのお話だと思うのですが、
奥津軽に行けばいくほど、
未だに「本家」「分家」という概念が色濃く残っています。

私たちの世代までくると、
そこまでのしがらみはなくなりますが、
幼き頃はそれこそ、
冠婚葬祭の場面ではいろいろとありました。

そんな私の実家の本家は、
古い趣の残る日本家屋。

りんご畑をたくさん所有し、
たくさんの従業員と共に、母がそこで働いていました。

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親戚ということもあり、
私はよく本家に遊びに行っては、
本家の子と遊んだり、おばあさんとお話をしたり。

りんご畑でお手伝いをしたり、
小休憩のおやつの時間にお菓子をもらったりしてました。

そんな本家は、
台所とは別に囲炉裏の間がありました。

おばあさんが鉄鍋でけの汁をよく作っていて、
もうもうと煙る湯気と、
味噌の香りや炭の音がまざった、
なんともノスタルジックな情景。

「あばのけの汁」の「あば」は、
「おばあさん」という意味になります。

今はもう本家も変わってしまったのですが、
炭火を見るとあの囲炉裏の間を思い出し、
心がほっこりとあたたかくなります。


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星の吐息

星々の 冴ゆる吐息は ちらちらと 夜に降りつむ 雪にかはりて

ほしぼしの さゆるといきは ちらちらと よるにふりつむ ゆきにかわりて

凍てつく夜、星々の吐息はいつしか雪に変わってさらに冷たさをますのだろう。

凍てつくような夜。

空は澄み渡り、
またたく星々のささやきは、
まるで吐息のようにゆらめいている。

ちらちらと、
控えめに。

ちらちらと、
姿を現して。

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星の吐息は雪に変わり、
夜の闇に降りつもる。

耳をすませば、聞こえてくる。

星々の囁きは、
今宵もまた、
ひっそりと夜に溶けていく。

 

 


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初日の出(折句)

初春の 強き光は 日の本に 伸びて導く 出る芽護りて

はつはるの つよきひかりは ひのもとに のびてみちびく でるめまもりて

年明け特有の力強い光は、日本に生まれる新たな想いや命を護り導いていくのでしょう。
※初日の出の折句となっております。

新年が明けました。

祖母の件もあり、
今年のお正月は慎ましく過ごしております。

お正月飾りも初詣もしないお正月は、
普通の日の延長のようで、
それでも初日の出の力強さはいつもと違うと感じます。

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この強い光が、
未だどこか仄暗さを残す日本という国を照らし、
導いてくれますように。

個人的には、
今年は環境が変わる年。

流れに身をまかせるだけではなく、
積極的にいろいろと挑戦しようと思います。

みなさまにとって、
幸多き一年でありますようお祈り申し上げます。

さあ、私もがんばるぞ。


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