消えゆく冬に思いを馳せて

春風に 花は香れど 日の陰に 残りし白の 消えゆく惜しも

はるかぜに はなはかおれど ひのかげに のこりししろの きえゆくおしも

花が咲き乱れ春風に乗って香っているけれども、日陰ではまだ白い雪が残っている。
あれほど春を待ち焦がれていたのに、ひっそりと消えていく雪は名残惜しさすら感じるものだなぁ。

雪深い冬からずっとずっと指折り待ち望んでいた春。
その春が、花の香りをのせた風と共に華やかに染め上げていく。

皆が新しい季節に喜ぶ中、ひっそりと冬の名残を感じさせる軒下の雪。

圧倒的な存在感と冷たさで威圧的に身も心も凍らせていた雪が、今は見る影もなくひっそりと消えようとしている。

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その雪に、名残惜しさを感じてしまうのはなぜなのだろう。

春が来た喜び故の思いなのか、雪そのものが忘れないでほしいと願っている声を聞いたのか。

ただひっそりと、誰にも気づかれることなく、いつのまにか消えてなくなっていく雪。
いつも知らぬ間に季節は移り変わっていくというのに、まるでその季節の移り変わる瞬間に立ち会えたような思いさえ抱いてしまう。

消えて喜ばれるこの雪を、人知れず消えようとしているこの雪を見ながら、せめて今この時だけは、私だけでも冬に思いを馳せることにしよう。


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あなたに寄り添う心の短歌は、日常のふとした瞬間を短歌でつづっています。

人の心、季節の移り変わり、花の色、風の音。それは気にしなければ気にならずに済むくらいの小さな出来事。

その小さな出来事を忘れないように、思い出せるように、短歌を作ります。あなたの心の琴線に触れる歌があれば幸いです。

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